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ミステリの祭典

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黒部ルート殺人旅行

作家 斎藤栄
出版日1981年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2010/06/03 21:46登録)
最初のバスの中での人間消失の方法はありきたりですが、中心問題はその後。2つの殺人それぞれに時計と鉄道を利用したアリバイで、どちらも着眼点は優れていると思うのです。
ただし疑問点もあります。時計の方は、証人におかしいと気づかれる危険性がかなりある状況です。また、鉄道の方はあまりに作為が感じられ過ぎます。まあ作中で主役の検事も、だから怪しいとにらむわけですが、犯人にしてみれば、そんな不自然なアリバイなどない方がましではないかと思えます。
「環境破壊への怒りを、私はこの作品にぶつけてみた」という「作者の言葉」中の趣旨がさっぱり感じられない話なのは、同時期の森村誠一作品とは根本的に小説作法が異なるところです。
いい素材なのでもっと何とかならなかったかなという気がして評価に迷う作品ですが、とりあえずこの点数で。

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