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ミステリの祭典

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雨降りだからミステリーでも勉強しよう
植草甚一

作家 事典・ガイド
出版日1972年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 mini
(2015/01/07 09:56登録)
皆様明けましておめでとうございます、本年も宜しく御願い致します
さて私の本年一発目の書評がこれ、”何だ、小説じゃなくて評論エッセーが一発目かよ!”、と突っ込まれそうですが、私の書評の場合、どの本を採り上げるのかは各出版社の刊行日程次第となっておりますはい(笑)

本日7日にちくま文庫から植草甚一「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」が刊行される
ちくま文庫からは植草氏のエッセーが既に2冊出ており、趣味の広かった植草氏だけに全てがミステリー関連とは限らないが、今後も筑摩書房さんには続けていただきたい、文庫で1500円はちょっと高いけどね‥(苦笑)
植草氏のミステリー、いや全ての分野で最も有名なエッセー本がこれだろう、ただし内容がというよりその題名自体の方が有名なんじゃないだろうか
”雨降りだから○○しよう”みたいなパロディーとしてよく使用されている(笑)
ところがこれ読んだことがある人は意外とそう多くないんじゃないかなぁ、以前はハードカバー版だったしね

実は内容は結構手強くて、植草氏のミステリー関連エッセー本にはもっと初心者向けなものも有るのだが、「雨降りだから」だけが有名になってしまったので初心者が手を出すかも知れない
しかしこの本は完全にミステリー中級以上の読者向け、多分初心者が読んでも大して参考にならない、当サイトのkanamoriさんの御書評中にもありますが、マニアック過ぎです(苦笑)

日本の海外ミステリーの翻訳状況は現代ミステリーか戦前の黄金期に偏っており、戦後の40~60年代の作品で未紹介のまま埋もれているものが数多い、その辺の時代の海外ミステリー事情を反映しているのがこの本である
日本では紹介漏れしてしまったが、海外ではその全てがマイナーなまま埋もれてしまったわけでもないので、40~60年代というのは見直すべきであると思う
40~60年代はミステリーにとっては重要な変革期で、特にサスペンス小説、警察小説、通俗ハーボボイルドなどに特色が有ったり新たに生まれたりした
意外と現代ミステリーの中には、黄金時代じゃなくて40~60年代をルーツとするものも多いのである
例えばヒラリー・ウォーなども新進気鋭の作家の1人として紹介している
しかし植草氏はウォーに対して”警察小説”というジャンル用語を殆ど使っていない
つまりウォーを警察小説の嚆矢と見る見方は、現代の視点で過去を振り返ってみれば、あの時代に警察小説がウォーから流行し始めたんだなと理解するわけである(実際にはローレンス・トリートの方が先駆だが)
だからこのエッセー本は、まだジャンルが確定していなかった時代の息吹が感じられるのである

No.1 5点 kanamori
(2010/09/08 18:14登録)
主に’50~’60年代に英仏米で出版された未訳本を片っぱしから紹介した海外ミステリガイド。
これを持っていれば、海外ミステリ通を気取れるのではと思い大学時代に手にしましたが、いかんせんマニアック過ぎます。特に前半部に次々出て来る作家は、当時(今も?)聞いたことのない作家ばかりで、パトリック・クエンティンやビル・バリンジャーの名前が出てきてほっとしたことを憶えています。
著者の植草甚一氏は、クライム・クラブ叢書や創元推理文庫(ジャンル的に黒猫マークが多い)の出版選出を担当した人ですが、その殆どが今では絶版本というのも肯けます。

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