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ミステリの祭典

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怪盗ゴダールの冒険
怪盗ゴダール

作家 フレデリック・アーヴィング・アンダースン
出版日2001年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 mini
(2010/10/18 09:31登録)
kanamoriさんがアンソロジーでお読みになられたのは「ドアの鍵」か「幻の宿泊客」かあるいは女盗賊ソフィ・ラングものの「贋札」のどれかだと思いますが、私が最初に読んだのは『クイーンの定員』収録作「ドアの鍵」で、この時の衝撃は忘れられない
思わせぶりな序盤から話は予想とは全く違う方向に進んで行く様に、この作家はプロット構築能力が無いのではないかと疑ったものだ
後にF・I・アンダースンとはそういう作家なのだと判明した
起承転結じゃなくて”起転承承”って感じで、途中からはマトモな展開になるんだけど、出だしだけがわざと本筋とは違う書き方をするのが持ち味
結が無いのはラストも話を途中で打ち切ったかのような唐突な終わり方で、合わない読者は最後まで合わないだろうが、私にはこの変な展開が魅力の作家なのである

ミステリー史的に重要だったり人気作家なのに、日本での紹介が今まで完全に遅れていた作家は枚挙に暇が無いが、アンダースンも第1次大戦後当時は人気作家であり、ホームズのライヴァル時代の古い作家の中でも本来はもっと早く纏まった形で訳されるべきだった
この短篇集が現在新刊で容易に手に入る状況にもっと日本の読者は有難味を感じるべきだ
本音を言うと出来れば『怪盗ゴダール』ではなくて、クイーンの定員にも選ばれた短篇集『殺人教書』にして欲しかったな、「ドアの鍵」も含まれているし
お屋敷もの館ものが嫌いなので、ジェームズ・アンダースンは未読だし今後も読まないかも知れない
ミステリー作家でアンダースンと言えば、ジェームズ・アンダースンなんかじゃ決して無くて、私にとっては永遠にF・I・アンダースンを指すのである

No.1 5点 kanamori
(2010/10/16 20:23登録)
「百発百中のゴダール」ほか、怪盗ゴダールシリーズ6編収録の連作短編集。
アンソロジーで1編を読んで興味がわいたシリーズですが、1914年刊ということもあって、新訳のわりに状況が分かりずらい描写があり、とっつきにくい感じがする。ただ、第1話から順に並べて読むと、ゴダールの存在が語り手の作家アーミストンの想像上の人物ともとれるメタ構成になっているところは面白い。

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