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ミステリの祭典

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血の痕跡
私立探偵タナー

作家 スティーヴン・グリーンリーフ
出版日1994年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2013/10/24 22:26登録)
70年台からのハードボイルド系私立探偵小説作家は、作中でハメットやチャンドラー、時にはスピレインの名前を挙げることがありますが、一人称探偵がロス・マクを読むと書いているのは、今まで読んだ限りでは本作がたぶん初めてです。いわゆるネオ・ハードボイルド作家の多くはロス・マク風の謎解き重視型だと思えるのですが。
ただし本作に関して言えば、基本的に家族の悲劇を描くロス・マクとはかなり違った感じを受けます。血液銀行や輸血の問題が扱われていて、時事的なテーマを取り上げた社会派な話なのです。
ほとんど最後になって、タナーが医者から血についての最新知識を得るのですが、おそらく作者自身そのことを知ってこの作品の構想を立てたのでしょう。解決部分が、それでこの後どうなるのかという部分で今ひとつすっきりしないのが気になりますが、登場人物たちもそれぞれ印象深く、なかなか重厚な仕上がりでした。

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