ベルリン・レクイエム ベルンハルト・グンター/ベルリン三部作 |
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作家 | フィリップ・カー |
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出版日 | 1995年10月 |
平均点 | 8.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 8点 | kanamori | |
(2011/11/09 18:25登録) ベルリンの私立探偵グンター・シリーズ3作目。 終戦の2年後、ベルリンと同様に米ソ英仏の4か国が共同統治しているオーストリアの首都ウィーンを舞台に、ナチス幹部の生残り組織が絡む米ソ両国の諜報戦にグンターが巻き込まれるというストーリー。 「偽りの街」はチャンドラー風のハードボイルド私立探偵小説でしたが、本書は、グレアム・グリーンを意識したエスピオナージュになっています。 旧友の求めに応じてウィーンに赴く主人公という設定や、プラター公園の大観覧車のシーン、民俗楽器のチターなど、母国英国の文豪原作の映画へのオマージュがちりばめられているのがしゃれている。物語の脇筋で、その映画らしきロケ・シーンもあって、「オーソン・ウェルズは本当に出演するのかしら」みたいな端役女優の会話にはニヤリとさせられた。 舞台はほぼウィーンに限られるので、「ベルリン・レクイエム」(原題"A German Requiem")というタイトルに疑問が残った。翻訳者・東江一紀氏の丁寧な解説にもその点は触れられていない。 |