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ミステリの祭典

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怪奇探偵小説集②
鮎川哲也編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1984年07月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 Tetchy
(2010/04/20 22:02登録)
「皮肉な結末」ものとでも云おうか、ちょっとしたスパイスを加えたものが多かった。

ポーの「黒猫」のオマージュとも云うべき「悪戯」、最後に泥沼の略奪愛劇が一大詐欺事件に変わる「決闘」、最後はありきたりだが、個展に必要な最後の写真のおぞましさが怖くていい「魔像」。これらはどれも出来はよく、好感が持てた。「決闘」は怪奇小説ではないかも?

幻想味が強く、観念的な趣向の作品は「幻のメリーゴーランド」、「壁の中の男」、「喉」、「蛞蝓妄想譜」。

エログロ趣味・フリーク趣味の作品は今作品集では乱歩の「踊る一寸法師」、「赤い首の絵」。

純然たる怪異譚は「底無沼」、「葦」、「逗子物語」。この中では短編集の末尾を飾る「逗子物語」が秀逸。

「恋人を喰べる話」、「父を失う話」、「霧の夜」、「眠り男羅次郎」の4編は奇妙な味とも云うべき作品。

こう並べてみると第1集に比べ、格段にヴァラエティに富んでいるのが判る。しかもレベルも高いものがそろっており、粒ぞろいといってもいいだろう。

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