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ミステリの祭典

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ガラスの檻

作家 飛鳥高
出版日1964年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/10/06 22:09登録)
独自のノウハウで成長を続ける中堅サッシ会社の専務・岩井は、大手企業との合併話を進めていたが、その独自技術の特許を持つ取締役工場長の安原を取り込むため、ヤクザ者を使ってある謀略を図る。しかしながら、その男が撲殺死体で発見され、続いて第2の殺人が------。

”産業推理”と銘打たれた長編ミステリ。
作者の飛鳥高は大手ゼネコンの技術部門に勤務する兼業作家だったので、企業合併を背景にした重役や下請会社社長、組合幹部などの動向描写は堂に入っており、これまでの作品と比べて筆の運びも滑らかな印象を受けた。
ただ、謎解きミステリとしてみると特に取り上げるほどのトリックが施されておらず、確執というか人間関係の絡みのみで処理されているだけなのが辛いところ。いちおうフーダニットの興味は終盤まで持たせているものの、社会派風の動機を含めて真相は平凡なものと言わざるを得ません。

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