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ミステリの祭典

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黒のトイフェル

作家 フランク・シェッツィング
出版日2009年02月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 Tetchy
(2010/03/01 22:24登録)
13世紀のドイツ、ケルンを舞台にした貴族の陰謀に巻き込まれた盗人の物語。『オリヴァー・ツイスト』のような物語を想像したが、濃厚さに欠けるように感じた。
痛いのは物語の主役を務めるヤコプがさほど聡明ではなく、偶然の連鎖で身に降りかかる災難を避けているに過ぎないことだ。こういう物語ならばやはり社会の底辺でしたたかに生きてきた盗人が狡猾さと悪知恵で大いなる陰謀を乗越えていく姿を見たいものだ。

しかしあとがきによれば、本書は本国ドイツでベストセラーを記録したらしい。ドイツにはよほど面白いミステリ・エンタテインメント小説がないのだろう。まだ見ぬ傑作が山ほどあるドイツ国民はなんとも羨ましい限りだ。

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