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ミステリの祭典

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サイレント・アイズ

作家 ディーン・クーンツ
出版日2005年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 Tetchy
(2010/02/04 21:50登録)
本作品ほど、クーンツは傑作を物するのに仕損じたと大いに感じたことはない。

クーンツの長所として

①ページを繰る手を休ませない物語の展開の早さ
②読者を退屈させない斬新なアイデアの数々
③どんなに窮地に陥ってもハッピーエンドに終わる

という3点が挙げられるが、今回はこのうち③を特化して物語を閉じればかなりの傑作になったのではないだろうか?なぜテーマを1本に絞れなかったのか?

やはり西洋人の作家だなあと感じたのはジュニアが寝言で知りもしないバーソロミューの名を連呼することに対する答えを論理的に用意していたというところ。恐らく日本のホラー作家ならば説明のつかない超常現象めいたことを種にするだろうが、クーンツはしっかりとその理由についても論理的に用意していたのが興味深かった。

正直な話、今回は物語がどのような展開を見せるのかが全然検討がつかなく、これがページを繰る手を止まらせないといったようないい方向に向かえば文句なしなのだが、迷走する様を見せつけられているようにしか受け取れなく、何度も本を置こうと思った。
1965年から2000年にかけてのバーソロミューの半生を描くサーガという趣向なのは解るけれども1,200ページ以上をかけて語るべき話でもなかったというのは確か。最後の最後でじわっとさせられるものがあったけれども終わりよければ全て良しとはいかず、やはりそれまでが非常にまどろこしかった。クーンツ特有の勿体振った小説作法がマイナスに出てしまった。

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