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ミステリの祭典

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二重葉脈

作家 松本清張
出版日1967年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2009/11/29 16:21登録)
確か高校の頃、清張作品の中でも特に気に入って2回読んだことがあります。今回読み直してみて、犯人が誰かとかもほとんど覚えていなかったのですが、やはり巧みな構成で感心させられました。
倒産した企業の金を横領したとの疑念がある元社長が失踪、さらに横領加担を疑われる専務と経理担当常務も同時期にどこかへ旅行に出てしまいます。その後行方がわからなかった三人のうち二人は何事もなかったかのように帰って来て、と怪しげではあるものの犯罪が起こったかどうかも不明なまま出来事をつないで、興味を持続させる作者の腕はさすがです。
殺人が起こるのは(目次からもわかりますが)半分を過ぎてからで、その後はもう一気に連続殺人になだれ込みます。岡山県北部や大阪周辺等の旅情描写も控えめで、これぞまさに社会派ミステリと思える展開です。
ただ、真相を示す最終の手がかりが、あまりに偶然すぎるというところは不満でしたが。

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