home

ミステリの祭典

login
千葉千波の事件日記 パズル自由自在
千葉千波の事件日記

作家 高田崇史
出版日2005年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2024/05/09 22:17登録)
これは、論理パズルでデコレーション(装飾)した本格ミステリか、それとも本格ミステリの仮面を剥ぎ取った論理パズルか?天才高校生・千波くん、平凡浪人生・ぴいくんたちと一緒に、筋道だったチャーミングでエレガントでスプレンディッドな謎解きを、ご堪能あれ!病み付きになること間違いなし。本当だよ。
Amazon内容紹介より。

誘拐や空き巣等の事件性のある題材も取り上げていますが、ジャンルとしてはやはり日常の謎でしょう。軽妙な文体で綴られ、パズルやクイズを挟んだ一連のシリーズならではの愉しみも勿論健在です。そして最後にその解答が、纏めれているのですが、問題が何ページなのかが明示されていないのが不親切です。それでも、ちょっとした豆知識が増えるのは嬉しい事ですね。又、『オイラーの魔法陣』等、驚くべき数字の不可思議現象の様な、知的な素材も幅広く披露されているのも特徴の一つと言えましょう。

いずれの短編も遜色ない出来で、軽さと読み心地の良さ、各キャラの存在感も読みどころとなっています。無論物語そのものも充実していて、意外にも多くの伏線を回収している辺りは本格物を思わせます。私の一押しは『似ているポニーテイル』で、かなり良く出来た所謂いい話です。それぞれの登場人物の心の揺れ動く様も克明に描写されており、その点でも評価が高いです。本作はシリーズ一出色の出来なのではないかと思います。

1レコード表示中です 書評