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ミステリの祭典

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ジェイムズ・ジョイスの殺人
ケイト・ファンスラー教授

作家 アマンダ・クロス
出版日1988年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2015/03/18 10:18登録)
(ネタバレなしです) 1967年発表のケイト・ファンスラーシリーズ第2作は、前作に比べるとこの作者の個性が出始めていますがそれが必ずしもいい方向に転んでいないように思います。この作者の特徴であるフェミニズムに関しては、ケイトの結婚観や女性のライフスタイルの選択肢に関する意見などが描かれていますがまだ声高に主義主張しているレベルではないのでプロットの妨げにはなっていません。しかしなぜケイトが田舎暮らしをしているかという恋人リードの質問に対するケイトの答え方がどうにもまどろっこくてイライラしてしまうし、8章でのジェイムズ・ジョイス談義になるとますます付いていけず(ジェイムズ・ジョイスを読んでいない私がいけないのかなあ)、何か敷居が高くなったような気がします。探偵役をケイトでなくリードが務めているのもやや問題で、ミステリーの登場人物としてのケイトの存在感が薄れてしまったように感じます。犯人の計画が信じられないぐらい杜撰だったのはまあご愛嬌ということですか(笑)?

No.1 7点 mini
(2010/07/05 10:04登録)
夏休みにケイト・ファンスラー教授一行は故出版社主の娘に依頼されて、作家ジェイムズ・ジョイスの手紙や原稿の整理に別荘へやってきた
アカデミック本格、ファンスラー教授シリーズ第2作
講談社なのに文庫ではなく四六版ソフトカバーという中途半端な装丁で出たので、海外では定評ある作なのに現状では捜し難くなっているのが残念、講談社は文庫化すべき

ジェイムズ・ジョイスは「ダブリン市民」「ユリシーズ」などで有名な20世紀でも最も謎の多い作家の一人で、作家としての履歴を見ている方が面白いが、基本的なプロフィルくらいはネットで確認しておく方が良いだろう
各章立てを見ると一見何の変哲の無いような全15章の題名が並ぶが、実はジョイス作の短編集「ダブリン市民」収録の各短篇の題名と全く同じという趣向なのだ
ただし物語の進行に合わせて配列順は変えてあるが
シリーズ第1作「精神分析殺人事件」は決して悪い作では無いものの持ち味が充分に発揮されてないもどかしさがあったが、「ジェイムズ・ジョイスの殺人」は文学的素養と謎解きが融合し、持ち味が存分に発揮された作者の代表作と言って良い出来だ

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