精神分析殺人事件 ケイト・ファンスラー教授 |
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作家 | アマンダ・クロス |
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出版日 | 1996年03月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | nukkam | |
(2012/08/14 15:15登録) (ネタバレなしです) 今でこそ男性の領域とされる分野で活躍する女性を主人公にしたミステリーは珍しくもありませんが、その先駆けとされるのが米国の女性作家アマンダ・クロス(1926-2003)のケイト・ファンスラー大学教授シリーズです。クロスは後にフェミニズム(男女平等主義)をミステリーに織り込んだ作家として有名な存在になりますが、デビュー作の本書は驚くことにユーモア本格派推理小説でした。ここにはフェミニズムの要素は全くなく、それゆえ作者の個性が発揮されていないと一般的な評価は低いようですが、私がこれまでに読んだクロス作品で純粋にミステリーとして楽しめたのは本書が1番でした。お堅い印象のタイトルですが(英語原題は「In the Last Analysis」)それほど学術的な難解さがないので私の好感度は高いです。 |
No.1 | 5点 | mini | |
(2010/04/05 09:47登録) 四月は最も残酷な月なり T・S・エリオットの詩の引用から物語は始まり、数々の引用が文学的香りを醸し出す 女性の大学教授がミステリーを書くことにまだ偏見があった時代にデビューしたアカデミック本格を代表する作者の第1作目 この作品で女探偵ケイト・ファンスラー教授が初登場する 戦前ならともかく戦後のそれも1960年代にもまだそういう時代だったとはね 女性探偵というのが堂々と闊歩するには1980年代まで待たなければならなかったのだ この第1作ですでに作者の個性が出ていて決して悪い作品ではないのだけれど、先に「ハーヴァードの女探偵」を読んでいたので比較すると、「精神分析殺人事件」ではまだ作者の個性が炸裂というところまでは行ってない気もするなぁ 真相のほうもこの作者にはちょっとミスマッチだ ただ本格というものを狭く解釈して型式に当て嵌めて捉えるような読者には、この「精神分析」の方が合うとは思う それにしても原題は”結局のところ、とどのつまり”みたいな意味だろうから、もう少し的確な翻訳題名は付けられなかったのだろうか あと三省堂のノベルス版という出版形態では内容以前にメジャー受けしないよなぁ、せめて早川か創元から出ていれば・・ 海外では定評ある有名な作家なのにな |