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ミステリの祭典

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タイタニック号の殺人
大惨事シリーズ

作家 マックス・アラン・コリンズ
出版日2007年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2012/03/02 22:48登録)
豪華客船タイタニック号の最初で最後の航海に乗り合わせた”思考機械”の生みの親、米国の推理作家ジャック・フットレルが、メイ夫人とともに船上の密室殺人に挑む歴史ミステリ。20世紀に起きた大惨事を背景に、実在の作家が探偵役を務めるという、通称”大惨事シリーズ”の第1作です。

謎解きミステリとしては推理味が薄くあまり面白いと思わないが、作者の狙いは、登場人物すべてを実在の乗員乗客とするなど史実をベースにしたリアルな物語の構築にあるのでしょう。
沈没事故から生み出された幾つかの有名なエピソードがさりげなく挿入されているので、事前の知識があるとより楽しめます。たとえば、フットレルが船室で読んでいる実在の小説『愚行』の内容(=タイタン号という客船が氷山に衝突するストーリー)とか、殺害現場の客室番号に則り、事件を”C13号客室の問題”と称する遊び心などが微笑ましい。

大惨事シリーズは、第2作が飛行船ヒンデンブルク号事故と”聖者”サイモン・テンプラーの作者レスリー・チャータリスとの組み合わせですが、それ以降邦訳が止まっているのが惜しい。このあとの作品には、ヴァン・ダインやアガサ・クリスティなども登場するらしい。

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