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ミステリの祭典

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江戸川乱歩全短篇<3>怪奇幻想
赤い部屋・人間椅子・芋虫・百面相役者・覆面の舞踏者・一人二役・お勢登場・木馬は廻る・毒草・白昼夢・火星の運河・空気男・悪霊・指・防空壕・押絵と旅する男・目羅博士・双生児・踊る一寸法師・人でなしの恋・鏡地獄・虫

作家 江戸川乱歩
出版日1998年07月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 蟷螂の斧
(2019/06/30 10:00登録)
夢野久作氏の「江戸川乱歩氏に対する私の感想」の中で紹介された『白昼夢』~その純な、日本風な、ヤルセのない魅力に、私はスッカリ強直させられてしまいました。『蟲』~あられもない気分の変幻を、あんなに平気で扱い去った筆力の凄まじさには「鬼か人か」と叫びたいくらい、参いらせられてしまいました。~を拝読。
サブタイトルが怪奇幻想とあり、猟奇ものなどが多く収録された短編集(22篇)。
著者の一面でもあるグロさの極めは「虫」「白昼夢」(既読分では「芋虫」)。その他印象に残った作品は「百面相役者」「踊る一寸法師」「お勢登場」「人でなしの恋」など。読者を選ぶ作品集ではあると思います。

No.1 7点 ミステリー三昧
(2009/09/29 19:51登録)
※以前読んだことのある『人間椅子』『お勢登場』『木馬は廻る』『白昼夢』『火星の運河』『押絵と旅する男』『目羅博士』『鏡地獄』は評価対象外です。
<ちくま文庫>江戸川乱歩の「怪奇幻想」に属する作品だけを集めた短編集です。明智小五郎or少年探偵団は登場しません。
私的ベストは『赤い部屋』・・・イタズラ好きの究極系「プロバビリティーの犯罪」を描いた作品です。「生」と「死」を言葉一つで操る変態青年の行為にゾクゾク感が止まりません。しかもラスト数ページの二転三転が「神懸かり」過ぎ。これを読んで「退屈」と感じる者はいないだろう。
万人にオススメできない私的裏ベストは『芋虫』『虫(蟲)』・・・「歪んだ愛」の究極系として高く評価したい。どちらのタイトルも人間の「ある姿(状態)」を表現していたことに、まず驚く。そして「愛」=「憎悪」の意味を知り、愕然とした。
次点は『防空壕』『一人二役』・・・究極の「妄想バカ」系として高く評価したい。思考回路が可笑しすぎる。思わず「ニヤリ」としてしまった。まさに愛すべき「バカ」だ。
次次点(?)は『双生児』・・・指紋トリックの盲点に驚かされた。当事者である犯人が、誇らしげに自ら体験談を語るという設定が微笑ましい。
総合してハズレがない。ただ中盤の中だるみが懸念材料。これは「名作で始まり、名作で終わる」といった構成(たぶん)なので仕様がない。ただ、未完成作品の『悪霊』『空気男』が同時に読めるのはレアかもしれない。

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