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ミステリの祭典

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BT’63

作家 池井戸潤
出版日2003年06月
平均点10.00点
書評数1人

No.1 10点 E-BANKER
(2009/08/24 21:53登録)
作者初期の最高傑作。
文庫版で上下分冊となった大作ですが、息つく暇を与えない緊張感と愛情につつまれたストーリーが見事です。
~父が残した謎の鍵を手にすると、主人公の目の前に広がるのは40年前の風景だった。若き日の父が体験した運送会社での新規事業開発、秘められた恋。だが凶暴な深い闇が父に迫っていた。心を病み妻に去られた主人公は自らの再生を賭け、現代に残る父の跡を追い掛ける。~
う~ん。素晴らしい感動巨編でした。
タイムスリップして、父親と同化してしまう主人公。若き日の父は、自分のまったく知らないような情熱と強さを持つ人物だった。勤務先の倒産を何とか防ごうと孤軍奮闘する父にさらに襲い掛かる闇の手。それは、密かに父が愛していた女性にも魔の手を伸ばしていた・・・
そして、ついに起こる殺人事件。果たして、若き日の父は愛する女性や会社を救うことはできるのか・・・
特に後半は一気読みして、ラストは涙が出そうになりました。
自分の目には寡黙で愛情を注いでくれなかった父親に、こんな過去があったことを知った主人公に、なんだか自分の姿を重ねてしまう・・・親子の愛情、特に父と息子の愛情って割と難しいものですが、これこそが「愛」なのだというのを感じさせられます。
「池井戸潤」といえば、経済や金融関係の小難しいストーリーという先入観のある方にも、是非読んで欲しい1冊。
(氏の作家としての資質を十二分に感じ取れる作品です。とにかくお薦め! 因みに、BTとはボンネット・トラックの略)

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