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ミステリの祭典

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少女探偵は帝都を駆ける
平田鶴子&宇留木昌介シリーズ

作家 芦辺拓
出版日2009年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 江守森江
(2010/02/28 05:10登録)
平田鶴子&宇留木昌介シリーズ第二弾。
細々と長期間に渡り書き貯め戦前の大阪を描いた6短編に、時系列的にはシリーズ終了を匂わせる修学旅行編の中編を纏めた連作集。
虚実取り混ぜた登場人物、時代背景に根差した動機、当時の最先端技術を逆手に取るハウダニット、映画・お笑い・探偵小説等への‘愛’に溢れた蘊蓄、冒険活劇の装いと本格ミステリとしての技巧、等々盛り沢山。
一方で、独特の読み辛さと作者のイジワルさが滲み出た表現が相まってもいる(この点のみ、どうにも好きになれない)
作者らしさ全開のバタークリームの如き作品で、好きならば濃厚さを満喫出来る。
あとがきにもある某作(田**文・梅*シリーズ)との被りは、本格ミステリ風とドタバタ風な見せ方の違いを比較でき、かえって楽しめた。
※余談1
好きな方は「小説宝石」(‘09・12月号)に掲載された平田鶴子・お婆ちゃん探偵の短編もどうぞ!
※余談2
戦前生まれの老人に「きゅうじょうで天皇陛下が云々」との話をされ‘きゅうじょう’って?と疑問だったが、この作品できゅうじょう=宮城(昔の皇居の通称)だと分かりスッキリした。

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