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ミステリの祭典

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バンディッツ

作家 エルモア・レナード
出版日1988年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2009/08/09 19:55登録)
題名の『バンディッツ』は“盗賊”の意味で、本作では主人公ジャックと元修道尼のルーシー、そしてかつて刑務所仲間だった元銀行強盗のカレンと元警官のロイたち一行を差す。
最初読んだ時はレナードにしてはストレートな設定だなぁと思った。ジャックが強盗団を結成すべく、ムショ仲間を仲間に引き入れ、大佐の金を強奪するという方向性が早くも見えたからだ。

しかしやはりレナードはレナードである。一筋縄では参りません。この強奪計画が判明した106ページから誰が423ページの結末を予想できるでしょう?
いやぁ、ものすごいね、こりゃ。人間という物は思ったとおりに動かないのさ、だからこそ人間なのさと嘯くレナードのしたり顔が目に浮かぶようだった。

しかし、この作品、レナードの先の読めない展開が悪い側に出たという印象は拭えない。
本作のプロットが判明する100ページ辺りまでの面白さから、「これは!」と期待するところがあったのだが、それ以降の展開が実にのらりくらりとしており、なかなか強奪計画の全容が見えてこない。実際最後の380ページ当たりになって始めてシミュレーションが行われるくらいだから、レナードはそこに重きを置いていないのだろう。でも逆にこれが私には不満で、まるで皮が美味しいのに中身がスカスカの饅頭を食べているかのような印象が残った。

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