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ミステリの祭典

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サイコ2
「サイコ」三部作

作家 ロバート・ブロック
出版日1983年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2022/03/21 05:55登録)
(ネタバレなし)
 アメリカの1982年作品。作者ブロックの1959年の長編『気ちがい(サイコ)』の続編小説。

 また思い出話になるが、大昔に「SRの会」の例会に出席した際、某会員が本書を読んで
「これはひどい! と思った。しかし同題の(まったく内容の違う)映画を観たら、もっとひどかった!!」
 と激していたのを、今でも覚えている。
 で、ああ、そうなんですね? と思って、ずっと長らく読まずにいたが、昨今のAmazonのレビューなどでは少なくともこの小説版の方の評価は悪くはないみたいである。で、先日の出先のブックオフで、旧・表紙版の方に100円棚で出会えたので、購入して読んでみた。
(なお映画『サイコ2』はいまだに観てない。)

 ちなみに本作(小説『サイコ2』)は前作『サイコ』の内容を120%明かした前提で開幕するので、そちらのネタバレを忌避したい人は、必ずまず、前作から読むこと。ヒッチコックの映画を観ていれば、それでもいいが。
 とにかく前作の小説もその映画版も手付かずで、しかもネタバレはイヤだという人は、本作は絶対に読まない方がいい。

 で、そういう形質の作品(前作の続編小説)なので、あらすじは抜きに感想だけど、個人的には思っていたより面白かった。大ネタのひとつは見え見えだが、さらに……。あんまり書けないけれど、80年代の日本国内のムーブメントにさりげなく影響の一端を与えていた可能性もあるね。
 いささかラフプレイな手際も感じるが、そこはつねにどこか泥臭い作風のブロック、十分に納得してしまう。
 ハリウッド映画産業に対するルサンチマンの累積も、書き手の本音むき出しという感じで苦笑しつつ、うなずかされる感じ。

 ページ数そのものはそんなには長くないんだけれど、ストーリーに立体感があるので、お話の量感は前作の倍くらいのものを実感した。佳作~秀作。

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