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ミステリの祭典

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死の発送

作家 松本清張
出版日1982年11月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2009/06/13 11:20登録)
刑期を終えて出所した官吏が横領した公金のうちの一部はどこかに隠したままではないか。その金に目をつけた新聞社の編集長が行方不明になるあたりまで、松本清張の中でも軽めの展開ですが、それなりに読ませてくれます。
さて、その編集長が中盤で殺されてからは、時刻表等を利用したトリックの解明が中心になります。しかし、トリックそのものは悪くないのですが、どうにも必然性が弱いのが難点です。手間のかかるトリックを使っているのに、犯人にアリバイが成立するとか動機を隠匿できるとかいうメリットがないのです。
ただ偶然駅の荷物受付係が依頼者の顔を覚えていたため、結果的には死体詰めトランクを被害者自身が発送したという不可解な状況が起こってしまったわけで、その効果を犯人が望んでいたはずはありません。これでは、作者のご都合主義と言わざるを得ないでしょう。

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