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ミステリの祭典

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虎の牙
怪盗ルパン

作家 モーリス・ルブラン
出版日1959年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2026/05/24 18:10登録)
長いねえ。横溝正史の作品中で密室の例として本作が上がっていて、「どんなのだっけ?」と思い急遽。だから戦前にはよく読まれていた作品であり、乱歩も褒めている。ルパンだってトリックがあるんだよ。

で実際、本作で登場する密室はなるほどな出来で、決して悪くはない。それ以上に機械仕掛けがあり、これがちょいとしたミスディレクションの役割を果たしているのがナイスだなあ。洗練感はないが、これにヒントを得たと思しき横溝の密室モノよりも心理的な辻褄はよろしい。

2億フランの財産をめぐって、一族根絶やし級の大虐殺劇になる。その他にとばっちりで死ぬ人も色々。というわけで凶悪犯罪度の高い作品なんだけど、それでもクイーンっぽい操りモノだったりする。狙いはわかるし、黒幕犯人の凶悪度がヒドいもんだけども、その分話が迂遠になってやたらと長くて閉口する。ルパンのピンチと脱出も、糸をひく謎の敵手という感覚で、直接対決までやたらとかかる。

で本作というと、今どきほぼネタとしか言いようのない、「モーリタリア帝国アルセーヌ一世陛下」という話が外せない。「813」の後自殺に見せかけて身を晦ましたルパン。フランス外人部隊に身を投じてそこでも活躍するが...色々あって仏領西アフリカ連邦のベースになる征服国家を樹立してしまう。そこにルパンの旧部下を招いて活躍させて、とかまあホラ話でもスケールだけはデカい。
それでも万一を考えて警察に残しておいた子分マズルーの、ルパンに魅了されて忠誠心絶大なんだけども、警察官としての誠実さは失わなくて、あえてルパンの言うことを聞かなかったりするのが、なんかイジらしい。素敵。

というわけで、リーダビリティはいいから長くてもツルツル読める小説なんだけども、結構疲れる。あ、そうか、バカなことばっかりしているヒロインに魅力がないんだよなあ。6点評価は激甘。密室トリックが割と気に入っているから加点って感覚。
まあ、本作でルパンは打ち切り、というつもりだったんだけども、そうも行かずに「八点鐘」で復活。でも過去事件という設定で、時系列で次の作品が「特捜班ビクトール」。ここではルパンは初老だから、10年くらい飛んでいる感覚。

No.1 5点 Tetchy
(2009/06/01 21:43登録)
ルパンシリーズ最大長編ながら、イマイチ知名度が低い本作。
二億フランという、現在の価値観でも破格の遺産を巡る殺人事件をドン・ルイス・ペレンナことルパンが探るというのが本書のテーマ。
従って話の風呂敷はとてつもなく大きく、敵も凶悪かつ奸智に長けているのに、結末はなんだかあっさり風で、肩透かし気味。
そしてルパンも結婚して物語が閉じられることからも、当時ルブランがルパンシリーズをこの作品で決着を着けようとしたのが解る作品。
とはいえ、世間はそれを許さず、今度は過去に遡り、ルパンの活躍が語られていくのだが、それはまた別のお話。

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