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ミステリの祭典

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ホームズ二世のロシア秘録
セバスチャン・ホームズシリーズ

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日2006年09月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 Tetchy
(2009/05/24 19:57登録)
本作も前作同様、第一次大戦開戦の火花がいつ起こるか解らない1913年を舞台に歴史上の人物らとシャーロック、マイクロフト、セバスチャン、ワトスンらが共同し、諜報活動に乗り出す。
前回はアメリカが舞台だったが今回はタイトルにもあるように、ロシア。
しかもまだロマノフ王朝が国を治める時代の話。しかしレーニン、スターリンら、後のロシア革命の立役者たちの暗躍も同時に語られ、ロシアの歴史の大転換期と第一次大戦が起こるか否かの瀬戸際の非常に緊迫した雰囲気の中にセバスチャンは晒されており、前作にも増して状況はスリリング。

しかしそれでもなお、なんだか割り切れないんだな。

ここに描かれているホームズは非常に人間くさく描かれている。
これこそ作者の意図するところなんだろうけど、果たしてこんなホームズを見たかったという人がどれだけいるだろうか?
この世界一有名な私立探偵はもはや“スター”であり、“ヒーロー”なのだ。
そんな男がウジウジしているところなんて読みたいと思わないのではないか?

色んな要素が盛り込まれている贅沢な作品だけれども、やっぱり手放しに賞賛できないなぁ。

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