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ミステリの祭典

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シャーロック・ホームズの息子
セバスチャン・ホームズシリーズ

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日2005年09月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 Tetchy
(2009/05/06 19:32登録)
なんとフリーマントルの手による、ホームズのパスティーシュ小説。しかし、厳密に云えば純然たるホームズのパスティーシュではない。ホームズの登場人物を借りたスパイ小説となっている。主人公はホームズでもワトソンでもなく、フリーマントルが創作した彼の息子セバスチャン。
自然、物語は政治色が濃くなり、シャーロックよりも官職に就いていたその兄マイクロフトの出番の方が多くなっている。実にフリーマントルらしいホームズ譚だ。

しかしこのホームズ譚の登場人物によるスパイ小説という手法が果たしてよかったのかどうか、非常に悩ましいところだ。題名に堂々と『シャーロック・ホームズの息子』と謳っているから―因みに原題は“THE HOLMES INHERITANCE(ホームズの継承者、ホームズの遺伝子)”―、どうしてもホームズ譚のような物語を想像してしまう。
読書を十全に愉しむためにこの手の先入観は極力排して臨むべきだと解っていても、やはりこの手のパスティーシュ小説では難しい。

今回は上の理由により、面食らってしまい、なかなか物語にのめり込むことは出来なかったが、フリーマントルの意図するところが解った今、次作はもっと楽しめるのではないだろうか。

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