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ミステリの祭典

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揺りかごが落ちる

作家 メアリ・H・クラーク
出版日1981年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2017/01/22 22:38登録)
メアリ・H・クラークの第3作。この作家は初読ですが、本書はいかにもサスペンス小説らしい作品でした。
タイム・リミット、ご都合主義が過ぎない程度の偶然、捜査側と殺人犯側、両方の視点を交差させて描きながら、とりあえず謎(犯人の過去の秘密)を終盤まで保持する構成、それに絡む当時のたぶん最先端技術についての問題提起などが盛り込まれています。安易に何でも適当に取り込んでというのではなく、程よくブレンドされていて、前半はむしろじっくり、その後タイム・リミットに向けてのサスペンス盛り上げと、とりあえず文句はありません。
ジャンルは違いますが、どことなくコーンウェルにも通じるような小説技巧が感じられます。miniさんが第2作『誰かが見ている』について、完璧すぎて欠点がないのがかえって弱点と書かれていますが、確かにそう言えるかもしれないような作風です。

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