home

ミステリの祭典

login
泣き声は聞こえない

作家 シーリア・フレムリン
出版日1991年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2021/05/27 15:31登録)
(ネタバレなし)
 その年の5月。15歳の女子ミランダ・フィールドは憧れの先輩トレバ-・マークスに処女を捧げて、そのまま妊娠した。意気軒昂としてそのままシングルマザーになるつもりでいたミランダだが、彼女は両親の手配で、半ば強引に堕胎させられる。学友たちに対して面子を潰されて怒ったミランダは家出し、訳ありの若者が集うコミューン「スクワット」の一員となるが……。

 1980年の英国作品。
 フレムリンの作品は『夜明け前の時』の元版(当時の創元の翻訳ミステリには珍しい、ハードカバー仕様だった)を大昔に古書で購入。そちらから読みたい気もしたが、例によって本が見つからない(汗・涙)。
 こっち(『泣き声』)も21世紀の初めか前世紀の終わりに、200円の古本で買っていた。

 現状、公私ともにちょっと忙しいので、短め&文字の級数も大きめ作品をというつもりで、深夜から読み始め、数時間で読了。

 前半はやや屈折した平凡な少女の普通の青春小説みたいな流れで、これがどこでどうミステリに転調するのか、やはり……かな、と思っていたら、中盤で案の定の展開になる。
 さらに終盤の(中略)もまた、大枠ではこちらの読みどおり。
 だが一方で、その上で斜め上に(ナナメ下かも)ぶっとんでいて、軽く驚かされた。
 とはいえこれって、いろんな意味でかなり強引では、という感じ。もしかしたら、こちらが何か伏線やら布石やらを見落としていたのかもしれないが。
 わたしゃてっきり……(攻略)。

 全体に作品の仕上げが荒っぽい印象もなくもないが、嫌いなタイプの作風ではない。ほかの邦訳分もいずれ機会を見ながら、手にしてみたい。

No.1 7点 mini
(2009/07/22 09:39登録)
創元文庫創刊50周年記念フェアの時に国内の各作家が推薦した作品が復刊されたが、桜庭一樹の推薦作がこれだった
サスペンス小説はアメリカの専売特許と思われがちだが、英国にも良い女流サスペンス作家は居るのだ
シーリア・フレムリンは活躍時期こそルース・レンデルと近いが作風は全く違い、レンデルのようなこってり型ではなく、ヴェルヴェットタッチなやさしいサスペンス
レンデルがCWA賞を受賞しているのに対して、フレムリンは同じ英国作家なのにデビュー作「夜明け前の時」はMWA賞を受賞しており、アメリカ作家っぽい作風がアメリカの評論家に受けたのだろうか
この「泣き声は聞こえない」も、はらはらドキドキ型とは正反対の穏やかな展開の果てにラストでは意外な真相が隠されているという魅力的な作品だ
桜庭一樹のファンには合うという意見もあるようだが、私は桜庭は未読なんでその辺は分かりません

2レコード表示中です 書評