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ミステリの祭典

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クレムリン・キス

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日1990年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2009/04/26 00:03登録)
本作のテーマはCIAとMI-6の諜報員同士のソ連の大物政治家の亡命を巡っての、丁々発止のやり取りなのだが、実は物語が動き出すのは全体の3/4当りに差し掛かった頃で、それまで本作ではモスクワに送られた各国スパイ達の交流とその夫婦生活と奥さん連中の内緒話、三角関係、遠距離恋愛といった、非常に通俗的な内容。
しかしこれが非常に面白い。スパイも家庭問題を抱えるのだね。息子が非行に走り、急遽勤務先から舞い戻ったりと大変なのだ。

実は個人的にはこの作品はこういう普段語られることのないスパイの生活を描くところで終わって欲しかったのだ。というのも本作に仕掛けられた最後のサプライズはあまりに唐突過ぎるからだ。技巧派のフリーマントルにしてはちょっと説明不足といった感じが拭えない。
今回はどんでん返しというよりも辻褄併せのような感じがした。実にフリーマントルらしくない歯切れの悪い結末だ。

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