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ミステリの祭典

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罠にかけられた男
チャーリー・マフィンシリーズ

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日1986年02月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 Tetchy
(2009/04/21 23:12登録)
いやあ、痛快、痛快。やはりこのシリーズでの筆致は一線を画すほどの躍動感がある。

チャーリー・マフィンの常に人を喰ったような策士ぶりは健在。いや、それどころか組織に属していない分、上司に縛られていないので、むしろ更に狡猾さが増した感がした。特にFBIのテリッリ捕縛作戦にロマノフ王朝切手コレクションがダシに使われることを摑んでからのFBIとのやり取りと、その作戦に一役噛んでいる上院議員コズグローブとのやり取りの面白い事、面白い事。
権力ある者に屈せず、むしろその権力を嵩に横暴を貪る者達を嘲笑するように振舞うチャーリーの姿には、上司-部下の上下関係に逆らえないサラリーマンの、こうでありたいという姿であり、溜飲が下がる気持ちがした。

そして今回、チャーリーの敵役のペンドルベリーも、いやはやなかなか面白い人物である。この男は、FBI版チャーリー・マフィンであり、チャーリー自身も自分と同じ匂いを嗅ぎ取る。
この男の水をも漏らさない計画に穴を開けるのが、このチャーリーというのがまた面白い。丁々発止の頭脳戦は似た者同士の騙し合い合戦そのものであり、これが今回の物語のメインディッシュとしてかなり美味しいものだった。

魅力ある登場人物が増え、どんどんシリーズの世界が広がっていく。今後のシリーズの行く末が非常に愉しみだ。

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