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ミステリの祭典

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魔の首飾
大前田栄策シリーズ

作家 高木彬光
出版日1985年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2021/01/23 07:43登録)
江戸時代末の実在の侠客大前田英五郎の子孫と称する私立探偵大前田英策もの6編を収録した角川文庫の短編集。そのうち『掌は語る』と『飛びたてぬ鳥』は立風書房の長編『断層』にも併録されていました。
「私立探偵というものは人生の溝さらい、その事務所は社会のはきだめのようなもの」(『飛びたてぬ鳥』)と考える大前田英策は、個人営業ではなく何人もの探偵助手を雇う興信所を営んでいます。巻末解説には、神津恭介が天才的すぎ人間性に欠けるという批判に答えた一つの試みだとか、ある種のハードボイルド的な要素も持つとか書かれています。ただ、神津恭介の対極的な設定ではあっても、百谷弁護士などのようなリアリズム系ではありませんし、作者の文章はハードボイルドとは全く異なった、地の文で主観をむしろ大げさに表現するものです。冒頭の中編『暗黒街の密使』には暴力団や殺し屋は登場しますが。

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