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ミステリの祭典

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断層
大前田栄策シリーズ

作家 高木彬光
出版日1959年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2019/09/06 22:55登録)
タフな私立探偵大前田英策を主役としたシリーズは、神津恭介との共演のため本領が発揮されていない久々登場の『狐の密室』だけしか読んでいなかったのですが、本作はその第3作、1959年発表という時代性からして、事件の裏に隠された秘密など、多少社会派的な要素も入ってきています。一方謎解き的にはシンプルで、ハウダニットの要素はありません。それは神津恭介とは違うものを期待して読んでいるからいいのですが、最後に犯人が仕掛けた罠を大前田英策が見破る決め手について、後から説明されるだけでフェアプレイが全く守られていないのだけはちょっとどうかと思います。
立風書房版には、同じ大前田英策ものの4短編が併録されていますが、中ではSF的な謎と人情噺を融合した『二十三歳の赤ん坊』が気に入りました。『飛びたてぬ鳥』は、同じ効果を出すには死体発見を遅らせる方がよっぽど簡単だろうと思えてしまいます。

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