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ミステリの祭典

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奥上高地殺人事件
道原伝吉シリーズ

作家 梓林太郎
出版日1998年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2016/07/23 13:18登録)
梓林太郎は、トラベル・ミステリ等によくある「○○殺人事件」のタイトルには必ずしもこだわっていないようですが、本作は死体発見から始まるパターンではないにもかかわらず、あえてこのようなタイトルにしたのは、なぜなんだろうと思ってしまいました。実際の内容は、北アルプスでの遭難らしき事件から、東京に住む女の誘拐へ、そして身代金要求の後、やっと起こる殺人で殺されるのは意外なことに…というものです。
そのようなストーリー展開はなかなかおもしろく読ませてくれます。文章力も手軽なエンタテインメントとしてはまずまずでしょう。しかし2つの殺人とも都合のいい偶然を利用し、さらにある登場人物が重要事実を隠していたのは、いただけません。結局、読み終えてみると、これは捜査側である道原刑事の視点よりも、他のある登場人物の視点を中心に書いた方がよかったのではないかと思えてしまいました。

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