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ミステリの祭典

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中村美与子探偵小説選
論創ミステリ叢書

作家 中村美与子
出版日2006年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2017/04/15 11:51登録)
12編の短編に、たぶん中村美与子の作品と思われる2編、それにごく短いエッセイ1編を収録しています。
巻末の解題で横井司氏は1935年の中村美与名義作品『火祭』について、同一作者かどうか不明だが、「放火犯が科学に長けている点などに、中村美与子作品に通ずるものがある」としています。しかしアイディアよりも場面展開が飛躍して説明不足なところがある点、視覚的な描写が巧みな点等の表現の持ち味に、後の作品と共通するものがあると思いました。一方1927年の『獅子の爪』(中村美代子名義)は、後年の作品群との共通性が感じられません。
1939年7月の『火の女神(セ・カカムイ)』から1940年5月の『鴟梟の家』までの4編は、北海道や中国等を舞台にした、本格派とは言えないにしても謎解き度の高い作品。その後の軍事的国策に沿ったスパイ・冒険小説4編の中では『聖汗山(ウルゲ)の悲歌』がおもしろくできています。

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