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ミステリの祭典

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戸田巽探偵小説選Ⅰ
論創ミステリ叢書

作家 戸田巽
出版日2007年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2018/01/25 22:21登録)
巻末の解題によれば、作者は神戸に生まれ、関西で活動した人だそうで、選集Ⅰには、発表が1931年5月の『第三の証拠』から1936年3月の『ムガチの聖像』まで16編の小説の他に、評論・随筆もいくつか収録されています。
最初の『第三の証拠』はサスペンス調の犯罪小説で、結末に意外性のあるものになっていて、特にタイトルの証拠はちょっとしたアイディアです。ところが続く4編(内3編がショート・ショート)はミステリじゃない…『或る日の忠直卿』なんて変な時代小説です。どれもつまらなくはないのですが、「探偵小説選」と言えるのかと思っていたら、『目撃者』以後はちゃんとミステリになっていました。1編だけ中編と言える長さの『出世殺人』は3つの独立した事件を組み合わせたもので、ちょっと偶然が過ぎる気もします。たった2ページの『吸血鬼』はもっと長い小説の冒頭部分だけ取り出した感じで、拍子抜けでした。

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