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ミステリの祭典

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横溝正史探偵小説選Ⅰ
論創ミステリ叢書

作家 横溝正史
出版日2008年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2020/01/31 22:38登録)
探偵小説選となっていますが、実際には後1/3近くの分量がエッセイです。しかし読んでみると、横溝正史はやはり学術的な文章より芸術的な小説の方が、はるかにいいと思いました。
その小説の方ですが、冒頭の『霧の中の出来事』は新発見の「微笑小説」。続いて『水晶の栓』と『奇岩城』を自由に翻案して中編にまとめたものがあり、その後も戦前の作品を中心とした21編のうち、単行本初収録作が19編という、珍しい作品ばかり集めた選集になっています。中には本当に横溝正史作か疑問のあるものも含まれています。
エッセイ集の最初に『ビーストンの面白さ』が収められていますが、なるほど、ビーストンを思わせる短編がいくつも入っています。『化学教室の怪火』『十二時前後』等初期の謎解き系から『卵と結婚』『お尻を叩く話』等ミステリでないヨタ話まで、有名作はデビュー作『恐ろしきエイプリル・フール』だけですが、なかなか楽しめました。

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