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ミステリの祭典

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酒井嘉七探偵小説選
論創ミステリ叢書

作家 酒井嘉七
出版日2008年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2014/06/15 14:36登録)
論創ミステリ叢書のタイトル形式に沿って『探偵小説選』としてありますが、むしろ酒井嘉七作品全集と言うべきでしょう。以前に本や雑誌に載ったことのある完成された15作品だけなら全体の2/3程度。その他に、誤字脱字がかなり残っている未定稿もあれば、ミステリ随筆、さらには身辺雑記や短歌23首までをも含んでいるのです。
巻末の解題には「大庭武年と並ぶ戦前本格探偵小説」作家と紹介されていますが、大庭ほど厳格な謎解きではありません。むしろ叙述トリック系を使った、気の利いたオチを持った小品といった感じの作品が多く、個人的意見では厳密な意味での「本格派」完成作は4編のみ。そのうち2編、貿易会社に勤め、英語が堪能であった作者としては意外にも純日本風な『ながうた勧進帳』と『京鹿子娘道成寺』が、良くできています。
また、未定稿の全然ミステリでない『異聞 瀧善三郎』も気に入りました。

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