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ミステリの祭典

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大庭武年探偵小説選Ⅱ
論創ミステリ叢書

作家 大庭武年
出版日2007年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2022/01/24 23:20登録)
第Ⅰ巻ではがちがちな「本格派」ぶりを見せてくれた大庭武年ですが、本作では謎解き系作品は収録11作(内1作は未完、他にミステリ関係と限らないエッセイが8編)のうち2作だけです。
そのうちひとつ『カジノの殺人事件』は戯曲形式で、人間関係が事件を複雑にしています。個人的には倍くらいの長さのじっくり書き込んだ小説にしてもらいたかったと思えます。もう1作、『歌姫失踪事件』は走行中の自動車からの人間消失という不可能興味の作品。トリックは一読だけでは不可能に思えたのですが、巻末解題に載っていた挿絵を見て、納得。1930年台当時の自動車の構造を利用しているのです。
他にも倒叙ものの『小盗児市場の殺人』がミステリ系では気に入りました。巻末解題ではおまけの1作のように書かれている『三吉積罪物語』は時代物の犯罪小説と言っていいでしょう。『港の抒情詩』は完全に恋愛小説ですが、悪くありません。

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