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ミステリの祭典

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プードル・スプリングス物語
フィリップ・マーロウ

作家 レイモンド・チャンドラー&ロバート・B・パーカー
出版日1990年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2009/03/26 22:32登録)
第4章まで書かれた本作をロバート・B・パーカーが書き継いで完成させた本書。
かなり賛否両論に分かれている(というよりも否の声の方が多いようだが)作品だが、個人的には愉しめた。

何よりもまず驚くのがいきなりあのマーロウの結婚生活から物語が始まるという設定だろう。
結婚相手は『長いお別れ』で知り合ったリンダ・ローリング。しかしチャンドラーが書いた4章で既にこの結婚が破綻しそうな予感を孕んでいる。

探偵稼業という時間が不定期な仕事と結婚生活の両立が上手く行かない事は自明の理であり、パーカーもそれを受け継いで物語を紡いでいる。

この2人の関係にパーカーのスペンサーシリーズの影が見えると云われているが幸いにして私はスペンサーシリーズを読んだ事ないので、かえってパーカーよくぞ書いたと思ったくらいだ。

マーロウの信奉者には卑しき街を行く騎士が結婚生活をしちゃあかんだろうと、夢を覚まさせるような感想が多いが、しかしこれはチャンドラーが残した設定なのだ。

私はいつもにも増して男の女の関係性という側面が盛り込まれ、そこで苦悩するマーロウが人間くさく感じられてよかった。
最後の「永遠に」と呟く2人のセリフは私の中で永遠に残るだろう。

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