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ミステリの祭典

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スティーム・ピッグ
クレイマー警部補&ゾンディ刑事

作家 ジェイムズ・マクルーア
出版日1977年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 kanamori
(2011/02/22 18:16登録)
南アフリカ共和国を舞台にした警察小説、クレイマー警部補シリーズの第1作。
被害者女性とその家族の境遇には悲惨なものがある。「ローマ帽子の秘密」の時代ならともかく、70年代にこのテーマが書けるのは、人種隔離政策の南アぐらいでしょう。題材は重たいですが、かといって物語は徒にシリアスになっていなく、事件発覚の場面をはじめコミカルなシーンが多くまぶされています。
色つきコンタクトレンズから事件の様相が急展開するプロットなど、この時代の捜査小説としては秀逸な出来だと思う。
ただ、”スティーム・ピッグ”という謎の言葉の真相や、犯人側の設定などのミステリ的な趣向は肩透かしの感もあった。

No.1 8点 mini
(2009/03/12 09:33登録)
不思議な事に警察小説というジャンルは、英米よりも異国の地を舞台にしたものに良いものが多い
異国情緒と警察捜査というのが相性が良いのだろうか?
南アフリカで生まれて後に英国に渡ったマクルーアは、南アを舞台にした警察小説を書いたが、この「スティーム・ピッグ」は数ある警察小説の中でも屈指の面白さで、CWA賞を受賞したのも頷ける
まだ南アがアパルトヘイト政策時代の話なので、作者はもちろん白人だがそうした社会制度批判も適度に織り交ぜながら、捜査小説としての魅力も存分に持っている
単に舞台の物珍しさだけで評判になったわけではないのだ

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