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ミステリの祭典

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殺す

作家 J・G・バラード
出版日1998年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2009/02/23 21:38登録)
世界の破滅3部作SFやスピルバーグが映画化した『太陽の帝国』などで知られる作者の中篇と言ってもよい短めの作品ですが、ミステリとしても読むことができるでしょう。
とは言ってもそこはバラードのこと、まともな謎解きは期待できません。舞台設定はほとんど外界から隔離されたコミュニティーという未来的な感じですし、小説の狙いも通常のミステリとは違い、異常な大量殺人事件を引き起こす原因となる社会通念や、その犯罪の持つ現代-近未来社会的な意味を問うというもので、やはりむしろSF的な視点を持っています。犯人像は、通常のミステリには超有名作を初め前例がいくつもありますが、そこが社会病理的テーマ自体になっているというところが、後味の悪さを引き出す佳作だと思います。

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