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ミステリの祭典

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悪魔の栄光
私立探偵ポール・パイン

作家 ジョン・エヴァンズ
出版日2006年05月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点
(2022/03/05 08:23登録)
ポール・パイン・シリーズの第2作は、イエス・キリストの自筆文書というマルタの鷹どころではない宗教的歴史的超貴重品の争奪戦です。法月綸太郎の巻末解説では本作発表の前年に発見された死海写本の例を挙げ、エヴァンズが時事ネタに敏感であるとしていますが、さすがに無茶な設定だとは思います。福音書原本ぐらいの方が、リアリティはあるでしょう。犯人の意外性と文書との絡め方は、『マルタの鷹』よりもうまくまとまっていると思います。二重の意外性、特に後の方は、早い段階で一回怪しいかもしれないとは思ったのに、その後完全に失念していて、驚かされました。
アル・カポネをモデルにした老年のギャングの最終扱いは、こうせざるを得ないだろうなと予測はついていたのですが、文書がどうなるかということと併せて、印象的な結末にしてくれていました。老ギャングに対するパインの態度も、なかなか味があります。

No.1 7点 mini
(2009/04/29 10:02登録)
国書や原書房と違い、論創社は本格以外にハードボイルドも拾ってくれるのが嬉しいところで、栄光シリーズ唯一の未訳作だったこの「悪魔の栄光」が訳されたのは感謝である
なお河出文庫の「灰色の栄光」は私立探偵ポール・パインは登場するが、原題にはhaloが入ってないので厳密に栄光シリーズと呼べるか微妙で、それと河出文庫ではジョン・エヴァンズ名義だが原著では本名のハワード・ブラウン名義だったようだ
ハワード・ブラウンはこのサイトでも既に作家登録されているし、ノンシリーズの書評も既にあるようですね

戦後のハードボイルドはチャンドラー~ロスマクと続く正統派と、ややマイナー作家の通俗ハードボイルドに大別できると思うが、ジョン・エヴァンズはまさに正統ハードボイルドの重要作家で活躍時期もチャンドラーとあまり変わらない
私立探偵ポール・パインはマーロウほど格好良くはないが、マーロウにはないちょっとおちゃらけた雰囲気があって面白い
シリーズ1作目で代表作とも言われる「血の栄光」も古本屋漁って本は入手済みだけど、読むのもったいなくてまだ未読なのですよ

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