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ミステリの祭典

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ミステリー&エンターテインメント700
河田陸村・藤井鞠子編

作家 事典・ガイド
出版日1996年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 8点 mini
(2010/10/06 10:34登録)
数年前、偶然に古本屋で格安で見付けて買っておいたのだが、とっても役に立ったガイド本
狭い意味でのミステリー作家の多くを省き、広くミステリー的な観点で選んだエンターテインメント作家を中心に紹介している
だから本格系の作家は皆無で、今後も本格しか読みたくないタイプの読者にはこの本は全く役に立たない

私はガイド本に対し個々の作品の紹介などを求めてはいない
そう聞くと、”おいおい、だからガイド本なんじゃねぇの?”と言われそうだけど、私は本当に作品自体のガイドなどを欲していないのだ
私が求めているのはズバリ、個々の作品ではなく作家の紹介なのである
それも日本の翻訳事情に鑑みたものではなく、海外でのその作家の評価位置付けが知りたいのだ
日本の翻訳事情に準拠したものなら、ガイド本なんか無くても分かるって
でも海外での作家の位置付けって、海外の評論家の選択したベスト100とかじゃないと、なかなか知り得ないしね
日本での人気ってどうしても出版事情に左右される面があるんだよな、そういう状況が私は気に入らないわけ

前置きが長くなったが、要するにこのガイド本はそうした視点が貫かれていて、私にとってはまさに”痒い所に手が届く”ガイド本なのだ
例を挙げると、冒険小説のコリン・フォーヴズなどはこの本で知った
冒険小説というとH・イネスやマクリーンの後継は一足飛びにJ・ヒギンズやD・バグリイになってしまいがちだが、上記のフォーヴズやブライアン・キャリスンやダンカン・カイルといったところを落とすわけにはいかない
フォーヴズは翻訳は沢山された割には日本では今一人気が出なかったが、海外ではマクリーンに次ぐ位の評価をされているなんて、この本が無ければ見逃すところだった
ホラー分野だとピーター・ストラウブなんかもそう、F・ポール・ウィルスンとかジョン・ソールとか
あと例えばトマス・ハリスはレクター博士シリーズしか思い浮かばなかったが、それ以前の非シリーズに「ブラック・サンデー」というスリラーが高評価されていて、知らなかった私は早速古本屋へ行って調達してきた、もっともまだ未読なんだが(苦笑)
「復讐法廷」のH・デンカーにも「女医スコーフィールド」という隠れた逸品があるのだが、古本屋でふと見付けた時も、このガイド本読んでなかったら絶対にスルーしてたはずだ

ここまで褒めといてなんだが、このガイド本には大きな欠点がある
それは評価が★☆の数で表されているのだが、これが全く信用出来ない事
例えばケンリックだと、「三人のイカれる男」の評価がメチャ低いが、内容的にそれはあり得ない
「三人のイカれる男」は出版社角川の思惑で前期作なのに翻訳が後回しになった曰く付きの作で、つまりは読まれてる度が同作家比で低いわけだ
多分複数の投票者のポイントを平均値ではなく単純に合計したらしく、要するに★☆の数が内容よりも読まれてる度合いに比例している印象なのだ
だから各作品に付けられた得点が妥当かどうかで言ったら、このガイド本の評価は7点でも高過ぎる位
あくまでも作家の説明に関してだけに対しての8点である

No.1 4点 Tetchy
(2010/09/07 21:49登録)
非常に薄味なガイドブック。作品に対する“愛”が感じられないなあ。その後創元推理誌上で増補されていたが、何の意味があるのやら。

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