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ミステリの祭典

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見えない蜘蛛の巣

作家 シャーロット・アームストロング
出版日2000年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2026/08/06 19:47登録)
(ネタバレなし)
 第二次世界大戦から間もないその年の3月。ロサンゼルスのノース・ハリウッド。織物会社のベテラン経理係の母ケイト(未亡人)と同居する、23歳の愛らしい娘アマンダ(マンディ)・ガースは、伯母エドナ・フェアチャイルドの何気ない一言から、かつて自分が新生児の時に同時期に生まれた男児の赤ん坊と病院で取り違えられかけた騒ぎがあったことを知る。しかもその相手の父親は、カリフォルニア画壇の巨匠画家で現在65歳のトバイアス(トビー)・ギャリスンだった。現在マンディは、かつて商品デザイナーだった亡き父ジョンの後を継ぐように、母と近い職場でデザイナーの卵として修業していた。そんなマンディは、万が一の確率で、実は自分はトバイアスの実子であり、彼の美術の才能を受け継いでいるのではないかと罪もない夢想を抱き、トバイアスとその家族に接近する。だがそんな彼女を待ち受けていたのは、思いもよらぬ悪夢のような事件であった。

 1948年のアメリカ作品。
 物語の序盤から、殺人者の本性を秘めた悪人が誰なのか、読者にわかるように語られる。
 話の形質はアマンダ、そして彼女に深く関わってくる某キャラクターを物語の主軸に据えたサスペンススリラーだが、さらにある意味で他方のメインキャラクターといえる殺人者の視点でもストーリーは進行し、その意味では倒叙・クライムストーリー的な趣も強い。
 成熟した職人作家アームストロングによるスリラーの作劇に淀みはなく、やや小さめの級数で詰め込まれた350ページ前後の紙幅(中盤からは会話も増えてリーダビリティは高まるが)をいっきに実質4時間弱で読ませた。

 ちなみに後半、面白いことは面白いんだけど、ミステリ的には悪人に殺されるか助かるかだけ? の曲のない話だなあ、もうひとつふたつ欲しいなあ、と一瞬、思いかける。すると終盤で正にもうひとつ、ネタを放り込んできて、見せ場を作るのはさすが、というところ。まとまりすぎていてそこが弱点、という食感を感じさせるタイプの作品だが、トータルとしては普通に面白い。

 ちなみに最後まで読んで、マンディ周辺の某キャラには、ある種の感慨が湧いた。21世紀の流行りの言葉で、アルファベット3文字。まあ、これはねえ……。仕方がないと言って割り切るのは……ムニャムニャ。

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