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ミステリの祭典

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サンタクロース殺人事件
弁護士プロスペール・ルピック

作家 ピエール・ヴェリー
出版日1975年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 ROM大臣
(2022/03/24 15:38登録)
フランス東部の小さな町で、雪の降るクリスマス・イブにサンタクロースが殺される。さらに教会で聖ニコラの宝物が盗まれ、謎の人物ド・サンタ・クロース伯爵が登場する。
謎を追求するにつれて、廃墟と化した修道院の地下室や迷路のような地下道の宝物が現れたりして、この名もない田舎町がお伽の国のような非現実性を帯びてくる。謎のありかも日常の現実を突き抜けた彼方にあるようになってゆく。
上質のユーモアと詩情に満ちたファンタスティックミステリ。

No.2 7点 nukkam
(2011/05/06 08:35登録)
(ネタバレなしです) 1934年発表の本書は7つの長編に登場する弁護士プロスペール・ルビックを探偵役にした代表作で、1941年には映画化もされています。犯人当て本格派推理小説としてはアンフェアな部分があり、自力で謎解きをしたい読者は少なからず不満を覚えるかもしれません。しかしその欠点を補って余りあるほどの魅力があり、ファンタジーとミステリーの融合という点ではかなりの成功を収めた作品と言えるのではないでしょうか。舞台が田舎町なので大都会のような派手なイルミネーションや巨大なツリーこそありませんが、昔風のクリスマスの雰囲気が豊かです。子供たちが遊びまわり、城館での舞踏会があり、当然サンタクロースも登場します。お約束事の雪もちゃんと降っています。謎解きとしても凝っていて、シンプルなプロットの裏に豊富なトリックと思わぬどんでん返しが仕掛けてあります。子供が読んでも大人が読んでも楽しめます。

No.1 6点 mini
(2009/12/24 09:42登録)
*季節だからね(^_^;)*
フランスが英米流本格かぶれに染まっていた時代にS=A・ステーマンらと同時期に活躍した仏本格派作家
しかしトリック最優先の貧相なステーマンとは違って、ヴェリイのイマジネーションに溢れたメルヘンファンタジー本格といった雰囲気はなかなか魅力的だ
まさにホワイトクリスマス
大雪に見舞われて外部との交通が遮断された小さな町でサンタクロースが殺される
こう聞くとクローズドサークルを期待する人も居るかも知れないが、特定の館が孤立しているのではなくて、町全体が孤立しているのである
つまり町の外部へは行けないが町の中は自由に動けるので、CCと言うより限られたコミュニティ内部が舞台と言う方が近い
しかもこの孤立状態は物語り半ばで解消される
謎解き面では若干アラもあるが、この作品は謎解きと雰囲気が見事にマッチしている点に見所があり、謎解き部分だけを取り出してアラ探しするのも無粋と言うものだろう

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