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ミステリの祭典

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ピアノ・ソナタ
リディア・チン&ビル・スミス

作家 S・J・ローザン
出版日1998年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点
(2017/03/25 10:19登録)
邦題のピアノ・ソナタは、シューベルト最晩年の変ロ長調(第21番)で、本作の語り手であり中心探偵役のビル・スミスが練習している曲です。個人的にはピアノ曲ならむしろショパンなどの小曲を聴きたいところなのですが。そのショパンの演奏をビルは、殺人事件の捜査で表向き警備員としてもぐり込んだ老人ホームで聴くことになります。弾き手の老婦人アイダは、ビルの聴き方で彼がピアノを弾くことを見抜きます。邦題に加えそんなこともあり、音楽が何らかの伏線になっているのかと思っていたら、そうではありませんでした。ただアイダはなかなか魅力的な人物で、ビルが事件の背景を知るきっかけを作ることにもなります。
ハードさも穏やかさも兼ね備えた作品で、おもしろいことは間違いないのですが、真犯人を指摘するビルの「推理」が実際には根拠不足なのと、悪人たちが最初から悪人らしすぎるのは気になりました。

No.1 6点 mini
(2009/11/02 09:56登録)
街路樹が紅葉に染まる秋のニューヨーク
私立探偵ビル・スミスは恩師から捜査依頼されて老人ホームへ潜入したのだが、そこでピアノ演奏の上手い上品な物腰の老婦人と出会うのだった
しかし周囲ではまたしても事件が

原題は外来語にもなってる『コンコース』、邦訳題名はもうちょっと適当な題名が欲しかったな
S・J・ローザンは中国系女性リディアと白人男性ビルの視点の話を作品ごとに交互に書いているが、この2作目はビルの視点の方
正統派ハードボイルドの趣に業界の裏事情などの社会派的要素を絡ませ人物描写にも優れたローザンらしさが良く出た作だ
ラストの纏め方があまり手際が良くないのが気になるが、私立探偵小説作家にとっての名誉ある賞シェイマス賞受賞も納得出来る
シェイマス賞受賞の女流作家だとグラフトンとかごく少数だからね

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