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ミステリの祭典

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これが密室だ!
ロバート・エイディー編

作家 アンソロジー(海外編集者)
出版日1997年05月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 8点 mini
(2014/03/10 09:55登録)
1914年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家だが、一昨年が当たり年過ぎたせいか昨年に引き続いてやや不作な年回りである
特に大物作家と呼べるのがシーリア・フレムリンくらいしか居らず、一般的知名度ではマイナーだがその分野のマニアックな作家が多い印象だ
私的読書テーマ”今年が生誕100周年作家を漁る”、第2弾は密室短編の専門家ジョセフ・カミングスだ
ただカミングスには1冊に纏められた翻訳本というものが存在しないので、ここはアンソロジーの形で書評するしかない

ロバート・エイディーという名前を全く知らないなら、そんな読者は密室マニアとは言えない
もちろんエイディーは作家ではない、密室作品の蒐集家・研究者であり、研究者としては世界的に名を知られている
このアンソロジーは森英俊氏がエイディーとタッグを組んで編んだものだ、マイナーな作家も含まれており、どちらかと言えば海外密室ものに慣れた読者向けであろう
アンソロジーの価値というものは、1つには収録作品にある程度他では読めない独自性が有る事、編集のポイントが明確で意義が有る事、書誌・出自・解説がしっかりしている事などだと思う
このアンソロジーは上記の点では独自性以外は満点で、私はアンソロジーにあまり収録作品の質を問わず、編集者の編集能力の方を重視する立場なのでやはり高得点を付けたい
惜しむらくはホックのサム医師もの2作が創元文庫で出てしまったので今となってはというところか
アンソロジー前半ではホックを除けば比較的にマイナーで良く言えば珍しいものが多い、作家名的にはタルボットは有名だが作品自体は長編短編共に寡作だしねえ、やはり貴重品でしょう
比べて後半ではカミングス、コーニア、スプリッグ、アフォード、キング、カーと不可能犯罪系マニアには怒涛の名前が並ぶ
ところでニコラス・オールドの「見えない凶器」は、『世界短編傑作集』にも収録された例のあの密室短編とどっちが先だったんだろう?ご存知の方居られますかねえ

書中で森氏曰く、”密室もの長編でカーに比肩する作家は殆ど居ないが、短編に限れば2人居る”とある、E・D・ホックとジョセフ・カミングスである
編中でもこの両名だけは1人の作家で2作づつ採られており、このバランス感覚も編者の上手さを感じる
先ほど言ったように今となってはだがホックの2編は創元文庫のホーソーン医師ものの短編集で読めるので希少価値は無い
しかしカミングスのは他では読めないので価値が有る、ただし質的には2編ともイマイチな気もする、密室トリックに必然性が乏しいんだよな
この作者のものでは読んだ中では他のアンソロジー収録の「海児魂」がベストだと思う、トリックが行なわれた理由に必然性が有るし
カミングスの特徴の1つに、アウトドアな舞台設定が多い点がある、上記の「海児魂」などは典型だが、本書収録の「悪魔のひじ」にしても雪の山荘テーマの1種だしトリック的にも屋外が全く無縁とは言いきれないしね
お屋敷もの館ものが嫌いな私としては、アウトドア派なカミングスは結構好きな作家である

No.1 5点 kanamori
(2010/05/18 20:35登録)
密室がテーマのアンソロジー。
あまり有名でない作家の作品が多く収録されていて、それなりに意義のあるアンソロジーだと思います。しかし、ホック、カーなどはいまさら感がありますが。
出来はともかく、マックス・アフォード、ジョセフ・カミングス、ヘイク・タルボットなどが読めたのは収穫。

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