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ミステリの祭典

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聖女の遺骨求む
修道士カドフェル

作家 エリス・ピーターズ
出版日1990年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/05/12 18:49登録)
(ネタバレなしです) 歴史ミステリーというジャンルはあのジョン・ディクソン・カーがパイオニアと言われていますが、シリーズ探偵を設定しなかったことが災いしたのかその時は人気を博するというところまでにはいかなかったようです。しかしウンベルト・エーコの「薔薇の名前」(1980年)やこの修道士カドフェルシリーズの成功により歴史ミステリーは市民権を得て、今では色々な作家が書くようになっています。1977年発表の本書はカドフェルシリーズの記念すべき第1作で、フーダニット型の本格派推理小説です。舞台は12世紀の英国(本書では1137年5月)ですが、さほど歴史に強くなくても十分に楽しむことができます。クリスティーを彷彿させるようなストーリーテンポが心地よく、なるほど幅広い人気があったのも納得できます。ただ謎解きとしては、ある容疑者に動機があり犯行機会があるのがわかっただけで解決へと持っていくのが強引で、やはり何かしらの決定的手掛かりが欲しかったです。

No.1 6点 mini
(2013/08/06 10:01登録)
* 1913年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家を漁る、その第1弾エリス・ピーターズの4冊目

大河歴史ミステリー修道士カドフェルシリーズの第1作目が「聖女の遺骨求む」である
しかし実はこの第1作目はシリーズ入門にはあまり適していない
第2作目「死体が多すぎる」以降ではスティーヴン王と女帝モードとの抗争が中心的時代背景になっているのだが、この第1作目だけはそうではないのだ
さらにはシリーズを通じてカドフェルの盟友として活躍するヒュー・べリンガーが初登場するのも第2作目である
つまり第1作目「聖女の遺骨求む」はどちらかと言えばシリーズ番外編的性質の作なのであって、しかも宗教談議に終始する内容など初めてシリーズに接する読者には分り難い面が有る
このシリーズを最初に読むのなら「聖女の遺骨求む」は後回しにして、まず2作目から入るのを私はお薦めしたい、「死体が多すぎる」の方が冒険アクションシーンもあったりで楽しめるしね
ただし話題の関連的にはシリーズ中期の「憎しみの巡礼」の前までには読んでおいた方がいいかも知れない、でも第1作目は読まないままでもあまり差し支えは無い、他のシリーズ作とは直接には話が繋がってないしな

私が読んだ範囲ではこのシリーズは大きく分けて3つタイプが有ると思う
1つ目はいかにも大河歴史ロマン的で戦闘シーンなども満載な動的なタイプ、上に挙げた「死体が多すぎる」や「氷のなかの処女」「死者の身代金」などがそう
2つ目は民間の事件を中心に据えた比較的に地味で静的な話で普通の本格派っぽいもの、「死を呼ぶ婚礼」などもそうだが中でも「聖域の雀」はその典型
3つ目が特に宗教的要素の強いもので前回書評した「憎しみの巡礼」もそうだがシリーズ第1作「聖女の遺骨求む」はまさにこのタイプである

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