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ミステリの祭典

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烙印
探偵クラブ(国書刊行会)

作家 大下宇陀児
出版日1994年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2011/11/30 21:08登録)
宇陀児と書いて「うだる」と読ませるというこの奇妙なペン・ネームの由来は、本作の解説にも載っていませんし、ネットでちょっと調べても出てこないようです。
ともあれ、本短編集には作者の様々なタイプの作品が収められていて楽しめます。
表題作は典型的な倒叙ものです。犯人が自滅していくサスペンスが見所ではありますが、伏線も行き届いていて、犯人の不用意な一言がうまく決まっています。『毒』は幼稚園児から見られた殺人計画の顛末ですし、『灰人』は殺人容疑者の飼い犬の立場に立った部分がかなり多いというように、視点を工夫した作品もあります。『偽悪病患者』は集中唯一のパズラーですが、手紙のやり取りのみという構成。『金色の獏』は楽しい作品ですが、タイプを言えばそれだけでネタバレしてしまいます。戦後の『不思議な母』『蛍』の2作品では、作者の文学的志向がより強く出ているように思いました。

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