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ミステリの祭典

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泥棒はクロゼットのなか
泥棒バーニィ

作家 ローレンス・ブロック
出版日1980年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2014/06/20 00:51登録)
泥棒探偵バーニイ・ローデンバーシリーズ2作目の本書でまたまたバーニイは泥棒に入った家で殺人事件に出くわしてしまう。
行きつけの歯科医クレイグ・シェルブレイクから突然頼まれた元妻クリスタルの所持する宝石類を盗み出してほしいという依頼を受けたバーニイはクリスタルが男漁りに外出している安心感からか、思わず長居をしたために(なんと1時間17分もの盗みに没頭していた)、当人が帰ってきたためにタイトルが示す通り、クロゼットに隠れて情事の最中に出くわし、更には殺人事件にも居合わせてしまうという何ともおかしな巻き込まれ方だ。

いやはや実に読ませる作品だ。典型的と云えば典型的、マンネリと云えばマンネリだが、それでも安心印で面白く読めるのがこのシリーズのいい所。
しかしそれでも本格ミステリの妙味がこの作品には溢れている。

特に今回はバーニイが被害者クリスタルの親しい人々を捜すのにマット・スカダーよろしく酒場のはしごをする件が非常に面白い。そしてそれが単なる作品のアクセントだけに留まらず、事件の裏に隠されたある犯罪とそれを仕組んだ謎の弁護士ジョンの判明に一役買うのだから、実に上手いではないか。

そしてバーニイが間抜けな強盗と化した、隠れたクロゼットに家主から鍵を掛けられ、出られなくなったことさえも、なぜ被害者がクロゼットに鍵を掛けたのかという理由が実に秀逸で久々に本格ミステリの持つサプライズを味わった思いがした。

こんな風にスラップスティックな調子なのに、そんな状況でさえ本格ミステリの妙味に変えてしまうシェフ、ローレンス・ブロックの腕前。なんて素晴らしいんだ。

さて今や絶版状態のこのシリーズ、今までブッ○オフなどで古本で買って読んでいたのだが、今回は電子書籍で読んでみた。
最初は使いにくさに戸惑ったが、慣れればさほど苦痛ではなかった。
でもでもやっぱり紙の本の方が読みやすいなぁ。

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