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ミステリの祭典

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観月の宴
ディー判事

作家 ロバート・ファン・ヒューリック
出版日2003年12月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/08/07 08:24登録)
(ネタバレなしです) ロバート・ファン・ヒューリック(1910-1967)は日本との縁も非常に深く、オランダ外交官として3回も駐在しており3度目の大使としての任期中に急死したのは大変惜しまれます(但し亡くなった場所は母国オランダらしいです)。ディー判事シリーズ第14作の本書は彼の死後の1968年に出版された遺作です。今回のディー判事はどこか精彩を欠いており、解決の仕方も本格派推理小説の探偵物語を期待すると失望することになるでしょうがエンディングはしみじみ感があってうまく締めくくっています。

No.1 6点 mini
(2013/09/19 09:55登録)
中秋節に隣県の羅(ルオ)知事から高名な詩人等を招待しての観月会に招かれた狄(ディー)判事、しかしその前に市井の殺人事件に立ち会うことになった
今回は羅知事の管轄地なので友人として協力捜査という形になった狄判事だったが、羅知事が苦しい立場に立たされることに…

* 本日は十五夜だからね
元々十五夜は中国の中秋節という行事がが由来である
不思議なのは日本では”七夕”は新暦の日付そのままで行なわれる地方が多い、もちろん有名な”仙台の七夕”は旧暦に合わせた8月に行なわれるが、まぁ東北地方だと7月7日じゃ梅雨が明けてねえもんな、賢明だよな
でも東北地方以外だって7月7日ってなかなか天気の良い年は少ないんだよな、七夕こそ真夏向きの行事だから旧暦に合わせりゃいいのにと思うのであった
その点”十五夜”は珍しく旧暦に合わせているんだよな、本来の中秋節はそれこそ8月の行事だったらしい
これなんか旧暦に合わせた9月だと秋雨と重なりやすく、月見が出来ない年などもよくある、もっとも日本では8月も夜空が澄んではいないからなぁ、今宵は月見に向いた天気となりますかどうか

今回は「江南の鐘」「紅楼の悪夢」でもチョイ役で登場したあの憎めないお調子者の羅判事が準主役級の出番となる
ネット上ではシリーズ中でも謎解き的に評価が低めなこの「観月の宴」だが、たしかに「紅楼の悪夢」のような複雑な真相ではなく中盤で動機など事件の背景はかなり見えてしまっていて少々物足りなさはある
しかしフーダニットな意味では、ミスディレクション的に工夫が感じられ惑わされる
むしろ例えば「白夫人の幻」あたりの方が狙い過ぎて真犯人の正体はやはりそれかよ(笑)みたいに見当付き易くなってるもんなぁ、比較すれば私は「観月の宴」の方を上に採りたい
全体に詩がテーマになっていて文学的な上品さが感じられる点など、代表作とは言えないかも知れないが私はシリーズ中でも特に低く評価される作でもないんじゃないかと擁護したい

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