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ミステリの祭典

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「妖奇」傑作選
甦る推理雑誌

作家 アンソロジー(ミステリー文学資料館編)
出版日2003年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2012/07/03 20:35登録)
戦前の探偵雑誌アンソロジー”幻の探偵雑誌”シリーズにつづく、戦後の探偵雑誌のアンソロジー”甦る推理雑誌”シリーズの第4弾は、昭和22年創刊の「妖奇」。
当初は戦前作品の再録が中心だったのが、ネタ切れのためか徐々に無名新人・覆面作家ばかりの掲載になったらしい。本書のラインナップを見ても高木彬光「初雪」以外はマイナーなものばかりです。

目玉作品は、なんといっても長編340ページ一挙収録の尾久木弾歩「生首殺人事件」でしょう。
「本格ミステリ・フラッシュバック」に取り上げられた作家のなかでひときわ異彩を放つ得体の知れない作家・輪堂寺耀。その別名義のコテコテの本格モノです。
遺産相続がらみのお屋敷ものという設定は当然として、犯行予告カード、3連続の密室殺人、しかも全て首なし死体、容疑者を一覧分析した丁寧な論証、で、もちろん”読者への挑戦”つき。コード型本格のガシェットをテンコ盛りにした設定にはマニアが泣いて喜ぶこと間違いなし。難点はトリックが既読感あるものばかりで作者の狙いが丸分かりなところですかね(笑)。

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