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ミステリの祭典

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生まれ来る子供たちのために
松浦純菜・八木剛士シリーズ

作家 浦賀和宏
出版日2008年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2019/11/03 22:23登録)
世界で一番醜く、孤独な男―八木剛士。剛士を唯一支えてきた少女―松浦純菜。だが、剛士の非道な行いにより二人の関係は崩壊し、彼の最後の拠り所であった、最愛の妹にまで悲劇が!!運命に翻弄される剛士は、最後の復讐を開始する…。すべての絶望が向かう先には一体何が―!?ついに明かされる、剛士の出生の秘密!松浦純菜シリーズ、堂々の最終巻。
『BOOK』データベースより。

シリーズ最終巻、漸く終わったかという気持ちが強いです。本作には正直始めからあまり期待していませんでしたが、やはり想像通り尻すぼみで完結してしまったとしか言いようがありません。
八木、純菜、南部の視点から過去を振り返りますが、似たような事柄が過去の作品に何度も書かれており、くどいです。果たしてこれだけ読んだ人がどれだけ理解できるのか疑問に思います。第一作から順番に読むことを義務付けるようなやり方は、言ってみればあざといです。最後に純菜を持ってきたのは正解でしょう、でも最後まで八木は醜く、心までも汚れてしまっているし、純菜は八木を憎み結末がどうにもスッキリしないまま終わった感じがして仕方ありません。ただ、剛士の秘密が明らかにされただけでも良かったのかなとは思います。しかし、それも今一つ納得がいかない部分があり、不満が残ります。

何となくメタに逃げたようなところは、らしいと言えばらしいですが、黒浦賀をずっと読まされてきたように思えてなりません。思えば、三作目以降はミステリからどんどん離れていってしまい、ここまで引っ張るような大したシリーズではなかったとの結論に個人的には達しました。一作目は良かったんですけどねえ、せいぜい四作くらいで完結させていればもっと密度の濃いものになったのではないかと思わざるを得ません。

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